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オランダでは1セント硬貨が流通してない、使われない本当の理由

生活

オランダで生活していると現金をほとんど使う場面がありません。

どこでも支払いはPIN、つまりデビットカードです。

PINが使えないお店もあるのでそういう場合は現金払いが必要なので少額の現金は常に財布に入れるようにしています。子供に小銭を上げようと財布の中の硬貨を全部出したところ1セント硬貨がない事に気が付きました。

家族会議を開いたところ、どうもオランダには1セントのお釣りや支払がないので流通していないのだ、という結論になりました。

現金支払いの場合、端数の切り上げ、切り下げがあるというのは知っていたのですが、だいたい現金払いの場合はレシートすらくれないお店が多いので、細かく確認したこともなかったので、オランダの切り上げ、切り下げルールについてまとめておきます。

オランダで1セントを切り捨てたり、切り上げて支払うことについて、オランダ以外の国から来た人は異口同音に『こんなんありえんわ』、『オランダだからね(謎)』というのですが、そもそも、少額硬貨を使わない国というのはEU圏内にも複数あってオランダだけというわけでもないのです。

少額硬貨を使わないようにすることを、少額硬貨のラウンディングと呼ぶらしいのですが、導入された経緯を見ると合理的な理由があるそうです。

ユーロ地域で普及し始めた「小額硬貨のラウンディング」とは? | ゴールドオンライン
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扱いが面倒で、管理コストがかかる「小額硬貨」

消費者の視点

ユーロ地域市民は判別が難しい硬貨として、1セントを挙げる人が60%、2セントを挙げる人が67%(複数回答可)と硬貨の中ではこの2種類だけが50%を超えている

ユーロの硬貨というのは金額によって大きさが変わります。金額が小さくなればなるほど小さくなり1セントに至っては16.25ミリメートル(1円硬貨は20ミリ)とかなり小さいです。

1,2,5セントは同じ色、デザインで厚みも同じで数字が違うだけです。

そもそもオランダ人は体が大きく手がグローブみたいな人が多いので小さい硬貨は取り扱うのが面倒になるのもうなづけます。

また、1セントと2セントは大きさも近いので見分けるのも難しいです。

小売店の視点

1セント硬貨50枚のロールを手に入れるのに40セントのコストがかかるケースもあるといわれている。つまり、50セント分の硬貨を準備するのに90セント必要だ

小売店からみても少額硬貨を扱うだけで、1セントを手に入れるために1セント必要という無駄なコストがかかっているそうです。

政府の視点

価値の低い金属を使って硬貨として発行すれば、差額を収入にできる。このような収入をシニョレッジ(通貨発行差益)という。

アイルランドでは1セント硬貨の製造コストは1.65セントであり、2枚作るごとに1セントを超える赤字が出てしまう。赤字になることを負のシニョレッジという。

ユーロ地域全体では2002年から2012年までの負のシニョレッジが約14億ユーロに上るとされている。この多くは1セントや2セントなどの少額硬貨によるものであると考えられ、財政赤字の一要因にもなっている。

政府としても少額硬貨は発行したくないというのが本音だそうです。発行すればするほど赤字になるという。

現金による買い物金額の合計額の端数を「丸める」

ユーロ地域のうちフィンランド、オランダ、ベルギー、アイルランドの4カ国では、ラウンディングという方法が導入されている。ラウンディングとは現金での買い物金額の合計額の端数を丸めて少額硬貨を使わないようにするものである

ラウンディングルール

フィンランドなど4カ国では、端数が1、2、6、7セントの時には切り下げ、3、4、8、9セントの時には切り上げをして、5セント刻みにそろえるラウンディングを実施している。

1個1.99ユーロの商品を2個買うと合計金額が3.98ユーロになるが、実際の支払いは4.00ユーロになる。また、3個買うと5.97ユーロになるが、支払いは5.95ユーロとなる。ラウンディングできるのはあくまでも合計額であり、個々の商品価格には適用できない。つまり、2.00ユーロ×3=6.00ユーロという計算はできない。

3捨7入と書かれているブログなども見かけますが、5セント刻みということですから、その表現は正しくないと思います。

1⇒0に切り捨て
2⇒0
3⇒5に切り上げ
4⇒5
5⇒5
6⇒5に切り捨て
7⇒5
8⇒0に切り上げ
9⇒0
0⇒0

まとめ

オランダ以外にも少額硬貨ラウンディングを導入している国があるのを知りませんでした。オランダ人は、小銭のお釣りを出すのが面倒だから勝手にやってると思っていたのですが、少額硬貨を使わないことで消費者、小売店、政府にとっていろいろな面でメリットが出てくるという合理的な理由があって妙に納得してしまいました。

オランダでなぜデビッドカードがこれほど普及しているのか不思議だったのですが、少額硬貨の丸めで損したくないと考えるのはオランダ人も同じようで、PINで支払えばお釣りを正しくもらいつつ、少額硬貨を使わないメリットを生かすことができるからだとおもいます。

小売店側からすればPINを使うと手数料がかかりますが、クレジットカードよりは手数料が安いということでクレジットカードは普及していないのだと思います。

オランダのことを調べるたびに、オランダってよくできた国だなと感心するのでありました。

 

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